メンコ

幼稚園の頃の自分は友達作りが出来ない子供だった。

いつもみんなとは別行動をとって、よく先生に叱られていた。

ある日、父親参観日の日、珍しく親父が見に来てくれた日があった。

親父が仕事を抜け出し参観日の途中から参加してみたら、

自分の息子の姿がない。あれ?教室を間違えたかな?と

全部の教室を探した。いない?どこだ?と外に行ってみたら

一人で紙飛行機を飛ばして遊んでいたそうだ。

 

そんな自分にある日、同じ教室の子からメンコを誘われた。

自分は日頃みんなが教室でメンコ遊びをやっているのを

いつも横目で見ていて、仲間に入りたかった。

でも「入れて欲しい」の一言が言えずにいた。

そんな自分は親にメンコを買ってもらっては密かに自分の家で一人メンコをしていた。

いつか同じ教室の子と出来ることを望んでか、黙々と練習をしていた。

そんな自分に初めてメンコの誘いがあったのだ!

すごくうれしかったのを今でも覚えている。

幼稚園が終わって走って家に帰り、今まで溜め込んでいた自分のメンコを

全部持って、待合わせした幼稚園前の空き地に走っていった。

一番乗りだった。なんか恥ずかしくなって、幼稚園の周りを意味もなく一周して

時間を調整した覚えがある。しかし一周してもまだ誰も来ていなかった。

もう一周した。まだ来ない。もう疲れたのでその空き地で一人メンコをして待っていた。いつも家でやっていた一人メンコより誰かを待ちながらの一人メンコは

すごく気合が入って楽しかったような気がする。どれだけやっていたのか、

辺りが夕焼けになり少し寒くもなってきた。結局、誰も来なかった。

あまり覚えていないが、泣かなかったと思う。むしろ悲しくも無かったと思う。

家に帰り、母親に「どうだった?」と聞かれて「楽しかったよ!」って

うそをついたのを覚えている。